6:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 16:57:18.57 ID:W5lmC8VA0
元はと言えば、私がスカウトされたのがきっかけだった。
街中で、私を探していたみたい。
おかしな人。知りもしないものを探すだなんて。
千夜ちゃんは、あまり良くない言い方だけれど、この人にとってはたぶん、私のオマケだったんだと思う。
それが今では、すっかり千夜ちゃんの方が売れっ子さん。
私は、最初の方こそグラビアのお仕事を楽しくやらせてもらったけれど、それからはあんまり、何も無い。
でも、いいの。
「退屈をさせないって約束、あなたは守ってくれたから」
だぁれもいない夕暮れの事務所。
彼のそばに置かれた型落ちのラジオから流れる、時代遅れの陽気なコミックソングが、少しだけうるさい。
今日も私にボンヤリと謝る魔法使いさんに、私はソファーから立ち上がり、笑ってかぶりを振る。
「千夜ちゃんに情熱の火を灯してくれた……。
あの子に新たな生きがいを与えてくれただけで、私には十分なの。
おかげで、毎日毎日、とっても楽しいよ」
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