黒埼ちとせ「進化論」
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5:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 16:54:55.17 ID:W5lmC8VA0
 今日はお仕事だった。
 と言っても、私のではなく、千夜ちゃんのグラビア撮影に同行しただけ。

 車の中ではあれだけむくれていたけれど、さっきのカメラの前では別人のように、千夜ちゃんはポーズだけでなく表情もしっかりキメていた。
 本人曰く、「やれと言われた事をやるだけです」とのこと。


「すごかったなぁ」

 被写体に徹しきる千夜ちゃんを思い出し、事務所のソファーに腰掛けながら、ふと感嘆の声が出る。

 あの子はそのまま、別の現場に行っちゃった。
 邪魔したら悪いかなと思って、私と魔法使いだけ帰ってきたのだ。

「まぁ、プロフェッショナルだよな」

 彼も、自分のデスクで腕組みをしながら頷いた。


「……すまない、ちとせ。
 お前にも、もっと仕事を用意してやれれば良いのだけど」
「ううん」

 私は首を振った。

「私のせいだもの。魔法使いさんは、何も悪くないよ」



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