54:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:57:29.00 ID:W5lmC8VA0
「アイドルは、楽しいです。
これほど夢中になれるものが私にあるとは、思いもしませんでした」
私の手を両手で握りながら、千夜ちゃんは私の目を見て続ける。
「当初は、先ほどお嬢さまが仰られた通り、お嬢さまが私に与えた新たな使命と解釈していました。
くだらないけれど、お嬢さまがそれを望まれるのであれば、この戯れに興じる以外の道は、私には無いのだと」
「千夜ちゃん……」
「ですが、そこに私は、私の新たな価値を見出す事ができたのです」
千夜ちゃんは私の手を取ったまま、私の隣にストンと腰を下ろした。
「これが呪いと呼ぶべきものかは、私には分かりません。
ですが、お嬢さま……病みつきと言いますか、ある種の中毒性を伴うものではあるのかもしれません。
お嬢さまの世話が蔑ろになってしまう申し訳なさよりも、これに夢中で取り組む事の楽しさの方が、上回ってしまう程度には」
「夢中……千夜ちゃんは、アイドルに夢中?」
「はい、お嬢さま。夢中です。
これが呪いであるならば、喜んで私はその事実を受け入れましょう」
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