24:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/18(木) 18:02:32.54 ID:n4MKx+790
「私も……プロデューサーさんが一緒にいてくれたから、ここまで頑張ってこられたんです」
その言葉に嘘がないのは、内側から滲む熱に潤んだ彼女の瞳が示している。
思い返す。愛梨をプロデュースしていて、何度か聞いて、今改めて聞かされている言葉のことを。
嬉しくないはずがなかった。そんな感謝の言葉を添えた砂時計を手に取ったとき、僕は初めてこの仕事をやっていて良かったと、心からそう思えたのだから。そして今だって、トップアイドルとして、その名前に恥じない姿で目の前にいる愛梨からそんな言葉を受け取ったのだ。これ以上の名誉なんて、これ以上に嬉しいことなんて、きっとこの世のどこにもないのかもしれない。
それでも、考えてしまう。
愛梨がトップアイドルになれたことに、僕はどれだけ寄与できていたのだろうかと、本当に僕は、彼女に感謝を捧げられるに値する存在だろうかと。
そうしていつも、思い出すことがある。
ずっと、きっと今に至るまで掛け違えたままだったボタンのこと。たった二年前に示し合わされた、僕の至らなさと不甲斐なさ、そして、いつもわかった振りをしていたのだと、突きつけられた夜のことを。
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