23: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:02:10.03 ID:BHjCA0Mo0
なんでって...それは絶対に言いたくなかった。情けなくて、カッコ悪くて、絶対に口になんてできない。姉さんの鋭い目から逃げるように、視線だけ下に逸らす。姉さんは逃げ場を塞ぐように、強さを増した口調で問いかける。
「もう一回言うけど、お母さんと私のお給料で、家のお金は十分。陸を大学に行かせてあげるだけの貯金も十分にある。陸もそれはきっとわかってると思うの。」
「だからわからないの。それなのに、アルバイトで稼いだちょっとのお金を、どうして家に入れる必要があるの?」
多分、姉さんは悪意なしに言ったのだろう。少し表現を誤っただけなのかもしれない。でも、その言葉は俺の気持ちの真ん中を貫いて、粉々にしてしまうものだった。
姉さんに背を向けて自分の部屋へ向かう。一歩進んで、二歩目を踏み出そうとしたところで、ガシッと肩を掴まれた。
「まだ話は終わってない!どうして答えてくれないの?」
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