もしもし、そこの加蓮さん。
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96:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 21:06:04.98 ID:QqIdgo5i0

雛鳥でも暖めてあげるかのように、
小さな音楽プレーヤーを両手でそっと包み込んで。
一旦緩めた箍は締め直す事も叶わず、
柔らかな笑みはいっそ、春の雪解けのように。


釣られるように彼の表情も柔らかさを取り戻しました。
へへ、と笑みが零れて、止まりませんでした。

へへへへへ、と照れ笑いに似た何かを浮かべる彼を見て、
加蓮はちょっと気持ち悪いな、と思いました。
伝えようかどうかちょっとだけ迷って、今度は伝えずにおこうと決めました。


北条加蓮、気遣いの人です。


 「アタシのだよ。返さないからね」

 「……いや、それは困るな」

 「えー?」

 「ファンに返してもらわないと」


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