もしもし、そこの加蓮さん。
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95:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 21:00:54.34 ID:QqIdgo5i0

満ち足りた五分三十秒が再びのピアノソロで締め括られました。
イヤホンを外すと冷たい風が頬を撫で、そういえば今は冬だったっけと遅れて思い出しました。

 「プロデューサー」

問い掛けるような彼の視線に、視線で答えてやります。

 「ぜんっぜん分かってない」



 「…………え、な」

幾つか予想していた加蓮の反応。
そのどれとも異なる鋭い切っ先を突きつけられ、彼は固まりました。

 「ぜんぜんアイドルポップっぽくないし、可愛らしく唄える曲でもないし、
  かと言って元気いっぱいなリズムとも違うし、そうかと思えば格好良さに振った曲調でもないし」

 「え、ちょ、かれ、え?」

矢継ぎ早に捲し立てる加蓮に、彼は困惑を隠せません。
しどろもどろで言葉を探す彼を、鋭く視線で射抜き――加蓮は、表情を緩めました。


 「でも、アタシの曲なんだね。すっごく、良い歌」



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