15:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 21:55:16.16 ID:63FTC/uF0
加蓮は聡い娘でしたから、もうとっくに分かってはいたのです。
ただの少女である加蓮に神へ挑む術など無く、弱点がどうこうの話なんかではないのだと。
生来の負けず嫌いが顔を出して、結論を先に先に延ばしていただけなのだと。
16:名無しNIPPER[sage]
2020/04/25(土) 21:58:24.00 ID:63FTC/uF0
続きはまた明日の夜に
17:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 21:44:40.91 ID:DTyxDqAB0
【U】クランク・イン
夕礼を終えたその瞬間に教室内の騒音は最高潮へと達しました。
18:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:01:13.11 ID:DTyxDqAB0
◇ ◇ ◆
実際、加蓮は上手くやっていました。
19:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:07:41.07 ID:DTyxDqAB0
今日の彼女は何だか薄ぼんやりとしていて、
いつもなら校門を出て十秒後には耳へ差し込んでいるイヤホンを取り出す様子もありません。
しばらく駅へ向かって歩いた所でようやくその存在を思い出すと、
鞄の中に手を突っ込んで、それから小さく溜息をつきました。
20:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:24:16.57 ID:DTyxDqAB0
気まぐれで足を運んだに過ぎませんが、到着したのは上映開始時刻の十五分前。
なかなか良いタイミングじゃん、と少し気分を良くした加蓮は、
カフェで買ういつものアイスコーヒーをSサイズからMサイズに代えて、
ふかふかの青い椅子にぽんと腰掛けました。
21:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:35:03.58 ID:DTyxDqAB0
まばらな客は誰も加蓮の事など見ていませんでした。
大手のシネコンであればどうしたって紛れ込んでしまう無粋な客も、
夕暮れ前のミニシアターにまでは忍び込んで来られません。
心地良い孤独がアイスコーヒーを少し美味しくしてくれます。
22:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:46:20.28 ID:DTyxDqAB0
◇ ◇ ◆
もう百二十分も経ったのか。
23:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:57:53.07 ID:DTyxDqAB0
「……分からん」
24:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 23:07:06.40 ID:DTyxDqAB0
余裕を湛えつつも確かな意思の宿る瞳に、
決して明るくはない照明を妖しく照らし返す唇。
ブレザーさえ着ていなければ舞台女優だと名乗っても通用してしまいそうな、
実に線の整った顔立ちです。
25:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 23:23:44.57 ID:DTyxDqAB0
「は、ぁっ……はぁ、っ……」
頭が冷えてきたところで、
なぜ自分が逃げ出してしまったのか、加蓮には分かりませんでした。
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