【バンドリ】氷川紗夜「ラーメンが食べたい」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:40:50.86 ID:z07AMiQQO

 だけど紗夜の頭にあるのは自分対ラーメンの様相だった。ネギととろろとチャーシューを率いたラーメン軍の一大決戦。天下分け目の関ケ原である。

 いっそもう、行ってしまおうか。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:41:27.47 ID:z07AMiQQO

 とうとう紗夜はラーメン軍との和睦を果たした。するとどうしたことか、先ほどまでやけに重たかった頭も肩も一気に軽くなった。その勢いのまま、机に広げた書類をやっつける。

 兵は神速を尊ぶ。善は急げ。思い立ったが吉日。兵法の基本だ。風林火山だ。古代中国の孫子の兵法だ。

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:42:12.84 ID:z07AMiQQO

『はぁー……やっぱ書類仕事ってすげー肩が凝りますよね』と伸びをする市ヶ谷有咲。

『ええ……ゲームや読書をしている時も……』と困ったような笑顔を浮かべる燐子。

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:42:52.19 ID:z07AMiQQO

「…………」

 座ったまま姿勢を正す。顔だけを真下に向ける。特に何にも邪魔されることなく机の書類が見えた。

以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:44:08.08 ID:z07AMiQQO

 そうは思うけれど、それでも一抹の悲しさが紗夜の寂しい胸中に去来する。

 でも、泣くことならたやすいけれど、悲しみには流されない。流されてたまるものか。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:45:10.44 ID:z07AMiQQO

 午後四時を過ぎたころ、花崎川商店街は活気に満ちていた。

 昔ながらの個人商店が並ぶ通りには、夕飯の買い出しだろう主婦や、制服姿のまま買い食いや寄り道に勤しもうという若人たちの姿がたくさん見受けられる。

以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:45:47.77 ID:z07AMiQQO

 その軽快に弾むメロディに乗って、紗夜の行軍は続く。

 もう迷うことはないけれど、それでも彼女の胸には小さな悩みの種があった。

以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:46:18.19 ID:z07AMiQQO

 ……まぁ、そうは言っても、商店街でエンカウント率アップする人物ならその数は限られてくるわね。

 手を繋いで微笑み合いながら歩いている女子高生ふたりとすれ違いながら、紗夜は頭の中に知り合いの顔を浮かべる。

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:46:44.79 ID:z07AMiQQO

 考えていても仕方ないわね。紗夜は羽沢つぐみを頭の隅に押し込めて、別の人物の対処法を思案する。

 北沢さんは純粋だから「これからご飯を食べに行く」とだけ言えばいい。余計なことは聞いてこないだろう。
 山吹さんは青葉さんと同じくエアリード能力に長けているタイプだ。それとない雰囲気を匂わせればすぐに察してくれる。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:47:20.27 ID:z07AMiQQO

 羽沢つぐみに対しての的確な言い訳は思い浮かびそうになかったけれど、それでも、と紗夜は思う。

 確率的に言えば彼女とピンポイントで出会ってしまう可能性は低い。花女と羽丘の下校時間は少しズレているし、生徒会の仕事と風紀委員の仕事でのズレだって生じる。そう、こんなところで、数多の可能性の中から羽沢さんとだけエンカウントしてしまうだなんて、もうそれは奇跡の類の話だ。運命的な出会いだ。今日はラーメンを食べてはいけませんよ、という神のお告げ的な何かだ。それであれば仕方がない、諦めよう。

以下略 AAS



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