16:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:44:08.08 ID:z07AMiQQO
そうは思うけれど、それでも一抹の悲しさが紗夜の寂しい胸中に去来する。
でも、泣くことならたやすいけれど、悲しみには流されない。流されてたまるものか。
そういう決意を小さく胸に秘めて、紗夜は立ち上がる。目指すはあの店、蒼いどんぶり。下なんか向いてる暇はない。食べきれるか少しばかり不安だけれど、今日はネギとろチャーシュー麺中盛りを注文してやるんだ。大盛りは流石に無理でも中盛りくらいになら私だってなれるはずだ。
「お先に失礼します。戸締りをお願いします」
そうして、生徒会室にやって来てから仕事もせずにずっと熱っぽい瞳で紗夜を見つめていた名もなきふたりに声をかける。
「はいっ、お疲れさまでしたっ」
「お気をつけて……っ」
ふたりは感極まったように声を返した。やたら仕事が遅いのもそんな風な返事をするのもいつものことだから、紗夜は気にせず強い足取りで昇降口を目指した。
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