1:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:35:27.32 ID:xmNjixo30
アトリエSSです
百合注意です
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:36:54.94 ID:xmNjixo30
ぶどう酒で口の中を洗い流し、ナプキンで口を拭う。心地良い満腹感と酔いに包まれて、椅子の背に軽く体重を預けた。
「美味しかったぁ、ごちそうさま。ありがとうね、ミミちゃん」
「お粗末さま。口に合ったみたいで良かったわ」
3:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:37:34.70 ID:xmNjixo30
「ミミちゃんって結構律儀だよね」
まあいいや、ミミちゃんのやりたいようにやらせてあげよう。なんでもない振りを装って、会話を続けることにした。
「そ、そうかしら」
4:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:38:15.31 ID:xmNjixo30
「あ、あんたは、特別だから」
「…え?」
「トトリだから祝いたいの。他の人を祝わないわけじゃないけど、あんたへのそれとは意味が違う、と思う」
5:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:39:04.71 ID:xmNjixo30
また急な話だ。勢いで言いたかった話をしてしまうつもりだろうか。ミミちゃんは一拍間を置いて深く呼吸をすると、話を続けた。
「私達が会ったのが、あんたが13歳の時じゃない。正確にはまだ先だけど、もうすぐ出会って10年も経つのよ」
「…10年。そっか、確かにそうだね。もうそんなになるんだ」
6:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:39:39.69 ID:xmNjixo30
「ミミちゃんは多分、わたしと出会わなくてもかっこいい人になっていたと思うよ」
「そりゃあ…ええ、否定はしないわ」
しないんだ。でも、そういうとこ好きだよ。
7:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:40:14.71 ID:xmNjixo30
「だ…だからこそ、なあなあじゃ駄目だと思って。10年も経つのに今更かもしれないけれど、つまり…10年も経つんだ、と思ってしまったから。これからずっと、何も変わらず年ばっかり重ねていくと思うと、恐ろしいの」
相変わらずいまいち話が読めない。躊躇や不安が彼女の話を迂遠にしているように感じた。ミミちゃんは決意を込めた表情で懐から何か取り出すと、わたしの前に置いた。
「…これ、渡しとく」
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