渋谷凛「テレフォンパンチ」
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1: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/02/13(木) 01:27:25.93 ID:YwNItfWC0

ニ月中頃、春を待たずして街は桜色に染まる。

喫茶店、レストラン、スーパーマーケットなど、ありとあらゆる店々で流れる音楽は恋を歌うものが多くなり、限定のチョコレートを用いたメニューや商品が増える。

今年も、バレンタインが近づいていた。


どうしてもアイドルという仕事柄、相手の性別に関わらずチョコレートはもらうことの方が専らであったけれど、渡すことがないではない。

というか、それなりに、ある。

だから、毎年この時期は楽しみであると同時に、思考と準備に追われるのが常だった。

友人と交換する、いわゆる友チョコも準備しなければならないし、お世話になった人々へ贈るいわゆる義理チョコもいる。

それから、父にも用意する必要があるだろう。

お仕事で会う人々へ贈るものは市販のものでいいとしても、その選別もまた中々に手間だ。

しかし、そんな手間も最近は楽しみとなっていた。

理由はなんてことはない。

ただ単に、独りでないからだった。

そして、それは数年前の、今と同じくらいの時期から始まった。


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2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/02/13(木) 01:29:26.03 ID:YwNItfWC0



所属している芸能事務所の休憩室で、私は人目がないことをいいことに、だらりと机に覆いかぶさるように突っ伏しながら、バレンタイン特集と題された雑誌のチョコレートの情報を眺めていた。

以下略 AAS



3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/02/13(木) 01:30:46.29 ID:YwNItfWC0

「それで、何か私に用事?」


平静を装って、背後のプロデューサーに声だけ飛ばす。
以下略 AAS



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