12:名無しNIPPER[saga]
2020/02/09(日) 02:26:51.39 ID:QhrXPTvL0
彼女と出会ったのは、高校に入学してすぐのことだった。
特にこれという波も乱れもなく中学を卒業したわたしは、それなりに勉強をしていたのもあって、それなりに名の通った高校に進学した。
推薦は何個か来ていたけれど、すべて断った。親は不満そうにしていて、でも無視した。
具体的に何かを話したというわけでもなくて、気が付けば親は折れてくれていた。勝手に納得してくれたみたいだった。
陸上部はどこにでもある普通校のゆるさと聞いていたが、いざ入ってみるとまったく違った。
新しく赴任した顧問が有名な人らしかった。小さい頃に見たことがあるような気がした。
入部したばかり、新入生だけで何本か走らされたときに、となりを走っていたのが彼女だった。
三歩目を踏んだときに、彼女の姿がまだ見えた。四、五、六歩目くらいで突き放したけど、目と鼻の先でのそれは慣れていないもので。
何度走っても、わたしが一着で、彼女が二着で。
それ以来、わたしたちはなんとなく比べられることが多くなった。
真面目で一生懸命な彼女と、真面目でもなく一生懸命でもないわたし。
走るフォームが綺麗な彼女と、適当にぐちゃぐちゃな姿勢で走っているわたし。
社交性皆無で一匹狼な彼女と、なにかとへらへらしてるわたし。
顧問に褒められる彼女と、小言を言われるわたし。
こういくつか挙げただけでも仲が悪くなりそうなのに、彼女は何かにつけてわたしに張り合おうとしてきた。
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