速水奏「人形の夢」
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39: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:41:53.45 ID:W4W9+UtG0
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木犀浪学園・大校舎1階・食堂

かな子が戻ってこない。

「おや、お独りですか」

「白雪さん、かな子を見なかったかしら」食堂に来てみたけれど、かな子はいない。白雪さんが声をかけてきたから、質問で返す。

「見ていませんが。部活では?」

「部活は水曜日だから違うわ。こんな時間まで何してるのかしら……」お腹も空いてきたから、焦りが大きくなってる気がするわ。

「何故、そんなに焦っているのですか」

「焦りもするわ」

「あなたのルームメイトは友人も多いですから、不思議なことではないと思うのですが」

「いいえ、違う」いいえ?ちょっと落ち着きなさい、偶には白雪さんの言うことを聞くべきよ。何故、そんなに焦っているの?かな子と夕食を食べたいからじゃないし、お土産のケーキを一緒に食べたいから……それだけじゃ焦らないわ。

「千夜さん、お待たせしましたわ。あら、速水さん、こんばんは」

「待っていません。あなたもオカシイですよ、急に黙って」

「そうね……」こういう時は。

「何かございましたの?」

「何もないはずです、おそらく」

「食べないとダメね。白雪さん、そのパンをくれるかしら」

「ハァ?自分で取れば……人の話を聞いてください」

「白雪さん、ありがとう。相原先輩、また今度」

「ごきげんよう、良い夜をお過ごしくださいませ」

焦っている理由はなに?

答えは、かな子を待つ部屋で悪い予感が育まれてきたからよ。

あの人形が、かな子を連れ出してしまった、って。



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