13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/11(土) 22:06:13.33 ID:tYd/KiKIO
「さて、佐々木。準備はいいか?」
「あ、うん。ちょっと待って……いいよ」
便座に腰掛ける佐々木。俺もすかさず座る。
「はい、ちょっとごめんよ」
「きゃあっ!? な、何だよ、キョン!?」
「もう少しそっちに寄れ、佐々木」
まるで椅子取りゲームか何かのように、ただひとつの便座に半分ずつ腰掛ける、俺と佐々木。
「ほんとに、ほんとに、キミってやつは……」
「集中しろ、佐々木」
「あ、うん。わ、わかった。頑張る」
愚痴愚痴文句を言う佐々木を俺が嗜めると、佐々木は無駄口をやめて、その時に備えた。
「佐々木」
「ん? なんだい、キョン」
「ありがとな」
一言にお礼と言っても様々な意味を持つ。
それは編んでくれたマフラーの件ではなく。
これまでのことやこれからのことも含まれる。
「僕のほうこそ……ありがとね」
会話は裏を読み取ることが肝心だ。
佐々木は頭が良い友人だ。
だから言外の思いを汲んでくれる。
そのことに改めて感謝しつつ、ぶちまけた。
ぶりゅっ!
「フハッ!」
巻いたマフラーの下から、愉悦が響き渡った。
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