8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:50:06.41 ID:DQhBkFB7O
「ここが、チーグルの森……」
北ルグニカ平野の穀倉地帯であるエンゲーブから北東にしばらく進むとチーグルの森に着く。
ダアト教会が崇める始祖、ユリア・ジュエと契約を結びし聖獣が住うこの森は、人の手が入っておらず、まさしく原生林であり、鬱蒼と木々が生い茂っていた。巨木を見上げていると。
「みゅみゅ?」
「うわっ! なんだこの魔物!?」
気づくと1匹の魔物が足元に出現していて。
剣を向けても逃げる気配はなく見つめられた。
傍らにティアが近づき、ルークを宥めた。
「剣を下ろして。この子たちがチーグルよ」
見ると、同じような魔物が巨木の根本から湧いており、ルークは取り囲まれてしまった。
「ご主人様の匂いがするですの!」
身動きが取れないでいると、何やら金属製のリングをまるで浮き輪のように携えたチーグルが空中を浮遊して、ルークの顔面に張り付いた。
「は、離してください! 聖獣様ぁ!?」
「みゅ?」
「じゃなかった……離せよ、このブタザル!」
「みゅうっ!?」
やや躊躇いつつも罵声をあげてレプリカ・ルークのような口調で引き剥がして、放り投げる。
しかし始祖ユリアが残したソーサラー・リングの力によって浮遊出来るミュウは墜落する前に姿勢を立て直し、まじまじとルークを見つめ。
「な、なんだよ……」
「どうしてご主人のふりをしてるのですの?」
「っ……お、お前には関係ないだろ」
首を傾げるかつての仲間であるミュウに、ティアとガイは歩み寄り、短く簡単に説明した。
「久しぶりね、ミュウ」
「アッシュの奴が、無理な教育をしててな」
「その教育の一環として旅をしているのよ」
「ティアさん! ガイさん! よくわからないですけど、ミュウも一緒に行きたいですの!」
どれだけ似ていても真似てもミュウはわかる。
自分のご主人様はレプリカ・ルークだけだと。
それでも今は亡き主人と同じ匂いがする少年のことが気になって、再び旅の仲間に加わった。
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