ティア・グランツ「私、もう待つのはやめたの」
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18:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:19:39.04 ID:DQhBkFB7O
「どういう意味だよ、それ」

尋ね返すとティアはなるべく刺激しないよう言葉を選びつつ、慎重に自らの考えを口にした。

「ルークは私と同じだったのよ」
「だから、意味わかんないっての」
「弱さを隠して、強がっていたの」

たしかに、日記には弱音が多々記されていた。

「だから、乱暴な態度で自分を守っていた」
「それがどうしたんだ?」
「でもね、根は臆病で、優しい人だったの」

そう語るティアの表情には幼いルークでもわかるくらい恋慕が浮かんでおり、苛々した。

「つまり、俺にそうなれと?」
「そうなる必要なんてないわ」
「俺がルークじゃないからか?」
「違うわ。人は誰しも臆病なところがあって、優しいところもある。だから、わざわざそうなろうとする必要なんてないということよ」

ようやく言いたいことがわかった。
なんとも遠回しな言い方である。
日記に記されていた通り、不器用なのだろう。

「なんだよそれ。それじゃあ、俺の今までの努力はなんだったんだよ! 全部無駄か!?」

剥き出しの感情を叩きつけるチビルーク。
ティアは正面から受け止めて、考える。
赤い髪。緑の瞳。けれど、アッシュではない。
ナタリアの血か、髪の色が僅かに薄い。
顔立ちもどことなく優しくて、彼に似ている。
真似するまでもなく、彼は似ていた。
もしかしたら、だからこそ、アッシュは。


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