ティア・グランツ「私、もう待つのはやめたの」
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16:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:15:17.73 ID:DQhBkFB7O
「失礼。少々言い過ぎましたね」
「うう……うわああああああん!」

チビルークはわんわん泣いた。
やれやれと嘆息して謝罪するジェイド。
そこでふと気づく。
甲板に水溜りが生じていた。
スプラッシュだろうか。やれやれ。

「フハッ!」
「わ、嗤うな!」
「フハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「嗤うなあああああああああああっ!?!!」

ジェイドは嗤う。抗議になど耳を貸さず。
容赦なく、邪悪に、愉悦をぶちまける。
この過ちが将来の糧とならんことを祈って。

「ふぅ……おや?」
「酷い……こんなのあんまりだ」

我に返ると目の前には膝を抱いて少年が蹲っていて、なんだか水溜りの面積を増したようだ。

「怖くて更にちびっちゃいましたか?」
「う、うるさい! どっかいけ!」
「私でよければ一緒に入浴しましょうか?」
「黙れ! お前なんか嫌いだ!」
「そうですか。では、バトンタッチですね」

くるりと振り向き、物影に潜む者に告げる。

「ティア、あとは任せましたよ」
「気づいて、いたのですか……?」
「これでも軍人の端くれですから」

すれ違いざま、肩を叩かれて泣く子を任されたティアは、こんな状況でバトンタッチされて途方に暮れつつも、チビルークが放って置けず、おずおずと歩み寄って、手を差し伸べた。


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