ティア・グランツ「私、もう待つのはやめたの」
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14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:10:53.68 ID:DQhBkFB7O
「ルークは、私の数少ない友人でした」

やるせない思いを抱えて癇癪を起こしたチビルークに歩み寄り、見に纏う青いマントをその肩にかけてやりながら、ジェイドは語った。

「沢山の過ちを犯した彼に共感を覚えた」
「共感……?」
「人は得てして、間違える生き物です」

ジェイド・カーティス。
養子になる前の旧姓は、バルフォア。
ネクロマンサー・ジェイドの異名を持つ。
フォミクリー技術並びにレプリカの生みの親。
その言葉は、ひとつひとつが、重かった。

「私は完璧主義でしてね。自分の過去の過ちがどうしても許せなかった。しかし、ルークを見て知ったのです。人は変われる。ならば、過去の過ちも将来の糧にすることが出来るのだと」

ジェイドは決戦の後、フォミクリーの研究を再開して、不安定な彼らを世界に繋ぎ留めた。
もしその技術があの時に完成していれば、ルークが消えずに済んだのかも知れない。けれど。

「ルークと出会わなければ、私は過去の過ちに蓋をしたまま見向きもしなかったでしょう。決戦の後、消えゆくレプリカたちを見ても感じるのは後悔だけで彼らの為に有効な手立てを考えようともせずに見捨てていたに違いありません。それが禁忌というものです」

死した恩師を救おうと生体レプリカを作るも失敗して暴走してしまい、バルフォア博士は姓を捨て、カーティス家の養子となった。
それからも研究を続けたが上手くはいかず。
過去の過ちに蓋をして、それを禁忌とした。

「我ながら愚かでした。頭の良いふりをして、諦めの悪いサフィールを嘲笑っていましたが、今となっては研究を続けていれば良かったと思わずにはいられません。そうしていれば、もしかしたらかけがえのない友を救えたかも知れないのにと、そう思わずにはいられないのです」

もしそうだったとして。
その世界にはチビルークの居場所はなくて。
あの綺麗な大詠師はきっと、レプリカ・ルークと結ばれていただろうと思うと、なんだか。


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