51: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:30:44.29 ID:hoMUvMIQo
「らしくないよな。花なんて」
彼がいつも通りの様子で笑う。
その言葉の意味が私にはうまく掴めなくて、だから私は何も答えずに黙っていた。
私の沈黙を彼は返事と受け取ったようで、そのまま続ける。
「あさひだって知ってるだろ。こういう形式的なことをすごく嫌うんだよ、あの人。意味がないって言って」
「そうっすね。私も同じような考えだから、よく覚えてるっす」
「だからいつも迷うんだけど、でも結局、毎回買っていくんだ」
「その場所にホームセンターを選んでいるのは、つまりそういうことなんすよね」
「うん。言い訳だよ」
「あはは、たしかに。それならまだ許してくれそうっすよね」
その光景は、面白いくらい容易に想像できた。
プロデューサーはその内側に様々な基準線を幾つも引いていたようだけれど、それでも他人の好意を無碍にするような人では決してなかった。
こんなの要らないのに、なんて口を尖らせながらも受け取ってくれる。
誰よりも素直なくせに、素直じゃない。
そういう人だ。
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