芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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19: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:09:28.76 ID:hoMUvMIQo

「もう、そんな時間っすか?」

 額から伝う汗を手の甲で拭いながら、部屋の隅に掛けられているはずの時計を探す。
 時計の針は一二時を四分の一ほど過ぎた辺りを指していた。
 今日の練習は一二時までの三時間で終える予定だったから、もう十分すぎるくらいにタイムオーバーだ。

「相変わらずの集中力だな」

 ほら、と手渡された白いハンドタオルを、そのままの勢いで首に引っかける。思いのほかふわふわで肌触りがいい。
 次いで受け取ったペットボトルの冷気を両手に感じながら、彼の目をみた。

「どのくらい前からいたんすか」
「三〇分ほど」

 指先にぐっと力を込めて蓋を開ける。
 中はただのミネラルウォーターだ。私がそうお願いしているから、プロデューサーさんは毎回同じものを、すぐそこの自販機で買ってきてくれる。

 中身をぐっと喉の奥へ流し込む。
 しばらくして、じんわりとした新鮮な温度が、鳩尾の少し上を中心に、辺りへ浸透するようにして広がっていく。
 それに合わせて呼吸のリズムも本来の調子に整えられていくみたいだった。




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