20: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:09:58.52 ID:hoMUvMIQo
「時間を過ぎたら止めてくれて構わないって、いつも言ってるのに」
自分のちょうど真正面、鏡の両側に設置された小型のスピーカーから、さっきまでと同じ曲がまた最初から流れている。
もう既に何百回と聴き込んでしまったそれは、世間にはまだ公表されていない、私だけの唄だ。
独り言のつもりで呟いた言葉は、しかしそんな音符たちの隙間を難なく掻い潜って、プロデューサーさんのもとまで届いたようだった。
彼は小さく肩を竦めるようにして笑う。
「勿体ないだろ。せっかくあさひのダンスが観られるのに、それをわざわざ止めるなんて」
「そんなの、毎週観てるじゃないっすか」
「つまり、それだけ観ていても全く飽きないってことだ」
「半年も?」
「もちろん。俺はあさひのプロデューサーであると同時に、ファンでもあるからな」
「ものは言いようっすね」
153Res/110.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20