芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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142: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:26:23.72 ID:hoMUvMIQo

「プロデューサーさん、珈琲なんか飲むんすね。知らなかったっす」
「まあ、基本的に朝にしか飲まないからな」
「美味しいっすか?」
「いや、別に。一口飲んでみるか?」
「うーん。じゃあ、いただくっす」
「熱いから気をつけろよ」

 受け取ったマグカップをそのままそっと口元へ運んだ。
 白く曇った湯気が覗き込んだ顔に直撃する。たしかにかなり熱い。
 無駄な抵抗とは思いつつ、ないよりはましだろうと何度か息を吹きかけて、それからゆっくりと口に含む。

 珈琲は苦いものだという固定観念があったけれど、どうなのだろう。
 たしかに苦いといえば苦い気はするけれど、飲めないほどかといわれればそうでもない。
 詳しくないけれど、もしかしたらなにかシュガーやシロップのような、苦みを緩和するものが足されているのかもしれない。
 分からない。とにかく熱くて熱くて、美味い不味いどころじゃなかった。

「よく分かんないっすね」

 私は手元のそれをプロデューサーさんにそっと返す。
 対する彼は、実は俺もよく分からないんだ、と笑っていた。




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