芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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143: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:26:54.32 ID:hoMUvMIQo

 窓際に置かれている直角型のソファの一番端に彼は腰かけた。
 私は同じソファのもう一方の端っこにぺたりと座り込む。
 ちょうど私たち二人は対角線上で向かい合っている形だ。
 その間には小さくて使い勝手のよさそうなテーブルが、しかしお互いになんとか手が届きそうというくらいの絶妙に離れた場所にあった。

 脇に置いていた通学鞄から、私は青色のクリアファイルを取り出した。
 彼がわずかに首を傾ける。

「それが例の」

 私は頷いて、そのまま彼に手渡す。

「随分と時間掛けちゃったっすけど、これで完成のつもりっす」

 この半年間ずっと滞っていた仕事、それはあの人が、プロデューサーが私のもとに持ってきた最後の仕事だった。




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