芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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114: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:10:01.35 ID:hoMUvMIQo

 私は目を閉じて、深く息を吸う。それから、彼の言葉を内側で繰り返した。

 私はプロデューサーのことをいまでも好きだろうか?
 いつかの私は本当にプロデューサーのことが好きだったのだろうか?
 あの日から何度も繰り返し考えた、内側に抱えてしまった感情の正体は、いったい何だ?

 思考を前に進めることを思わず躊躇った。雨が止んだから。
 雨音を拡散する水色の傘も、視界を遮る半透明の壁も、いまはどこにも見当たらない。
 この両手はきっといとも容易く答えに触れてしまえる。
 たったそれだけのことが、ただ怖かった。




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