芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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111: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:07:56.48 ID:hoMUvMIQo

 傘を叩きつけていた雨の音は、ふと気がつけばぴたりと止んでいた。
 それまでは空を遮っていた黒色の傘が視界の外に消えていく。
 そのかわりに顔を覗かせた空は依然として曇っていた。
 天気予報がどう言っていたかは知らないけれど、でもなんとなく、もう一度降り出すということはないんじゃないかという気がした。

「あの人が危惧していたのは、結局、それなんだろうな」

 頭の上に乗せたままだったタオルで濡れた髪を拭いていると、プロデューサーさんが何かを思い出したような口調でそう言った。

 私はその場でくるりと回って、後ろを振り返る。
 彼はどこか遠くを眺めるような表情を浮かべていた。




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