20: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:25:56.10 ID:yU6CR/tX0
「次はなにしよっかーっ♪」
それをできるだけ顔に出さないようにいつもよりもはしゃいでみたりする。そんなアタシはピエロみたいだと思う気持ちを精一杯誤魔化そうとするけど、全然追いつかない。いつか誰かにそっと触れられてしまうことが怖い。それなんだったらいっそのこと。
21: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:26:22.22 ID:yU6CR/tX0
「柚ちゃん、どうかしました?」
「……今度の公演でセンターをやらないかって」
22: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:26:55.94 ID:yU6CR/tX0
「えっ、えっ、みんなは迷ったりしないの?」
「うーん、ちょっと勇気がいるなって思うことはありますけどっ」
23: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:27:37.08 ID:yU6CR/tX0
みんなにとってのトクベツがどこかにあるんだってことをアタシはまた目の前で見送るだけなんだろうか。好まれるような強くて優しいヒトじゃないのは、そして、どやってできるなにかがないのは、どうしてだっけ。
アタシにとってセンターは眩しいスポットライトのあたる場所。トクベツなヒトのための場所だ。
24: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:28:04.14 ID:yU6CR/tX0
◇
25: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:28:32.73 ID:yU6CR/tX0
プロデューサーサンの顔を見続けていたら、なんだかいろんなものが揺らいじゃうような気がして、給湯室へとさっと逃げる。やかんのお湯が沸くのを肘をついて眺めていることに気付いてこれは重症だって苦笑いをした。お揃いの模様で並んだマグカップ。お湯をどれだけゆっくり、ゆっくり注いでも、あっという間に終わってしまう。時間稼ぎにはどうやらなってくれないらしい。
「はいっ、コーヒーお持ちっ!」
26: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:28:58.96 ID:yU6CR/tX0
「ちょっと待って、待ってっ」
「ん、いつまでも待つよ」
27: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:29:27.43 ID:yU6CR/tX0
楽しいことがあっても、前髪とパーカーで隠して、袖で見ているだけの女の子。前髪をぱっつんにしたのは変わろうと思ったからだっけ。袖で見ているのは変わらないまま、でも楽しい雰囲気を味わうことはできるようになった。
アタシだってトクベツになりたいよ、プロデューサーサン。現実と理想の間をふらふらと歩いてきたアタシにとって、マジメで全力なことは眩しすぎる。ずっと怖くて逃げてきたことだけれども、変われるなら変わってみたいんだ。
28: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:29:56.00 ID:yU6CR/tX0
「あのね……」
最初の一言が思ったよりも弱々しくて慌てて取り繕ってしまう。これじゃ心配されちゃう、ダメダメっ。
29: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:30:57.14 ID:yU6CR/tX0
◇
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