84: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 08:04:34.96 ID:sHF766Jg0
「な、なんで私が偽物だってわかったの……?」
「それは俺の灰色の脳が」
「プロデューサー殿、素直に総当たりで試して最後に残った加蓮殿が引っかかっただけと話したほうが」
「うぐっ! で、でも、一応加蓮が犯人じゃないかとは思ってたぞ! だってあの時、加蓮は自分の部屋に戻るよりも先に芳乃の部屋に来たはずだ」
「!」
そう、肇には1人目星がついていると答えたがあの段階では誰が犯人かはわかってなかった。ただ、加蓮のことが怪しいと思っていたのは事実だ。芳乃の部屋でヒントを探していた時、加蓮はすぐに芳乃の部屋に現れた。【わざわざ自分の部屋がある二階じゃなくて、その上にある芳乃の部屋に】だ。それにあの部屋はカーテンが閉まっていた。窓越しに怪しい影を見たなんて言い訳は通用しない。
「もしかしたらあの時車が不調になった、というのも俺が芳乃の部屋を漁ってると思って妖力か魔法を使ったんじゃないか?」
「そして何って言ったか憶えてるか? 荒らされてたら嫌だから自分の部屋に戻ろっと。そんな感じのことを言っていたよな」
「それって自分の部屋に戻らず、真っ先に三階の芳乃の部屋まで来たってことだよな? あの時は慌ててたから気にならなかったけど……よくよく考えればおかしなことだ」
それでも総当たりをしてまで加蓮を最後の容疑者にしたのは……悪友のような距離感にいた彼女のことを黒幕だと思いたくなかったからかもしれない。結局その期待は裏切られてしまったわけだが。
「なるほど……結構やるじゃん……」
「加蓮の姿を保ってられないみたいだな。声ががさがさだぞ? さあ正体をあらわせ!!」
「し、正体を知りたい? そんなに知りたいなら……見せてあげましょう」
「きゃあ!」
「肇!? 大丈夫か?」
バリン! と鏡が割れる音がすると同時に加蓮だったモノは立ち上がりその本性を見せ……。
「えっ……?」
「不思議な世界に招待する、ショータイムを始めましょう……ふふっ」
「か、楓さん……?」
誰もが目を疑った。そこにいたのは、事務所の誇る歌姫で駄洒落とお酒が好きなお姉さん――高垣楓だったからだ。
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