83: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 08:02:32.41 ID:sHF766Jg0
待ち焦がれた満月の夜は案外早くやってきた。2日後の夏の夜、セミの鳴き声が響く中まん丸とした満月が空に浮かんでいた。
「悪いね、ちょっと話があったんだ――加蓮」
呼び出された加蓮はこれから寝るところだったのか寝巻き姿だ。夏の夜の暑さで少し汗をかいているみたいでまたシャワー浴びなきゃと言っている。
「こんな時間に呼び出すなんて。もしかして告白? 美穂が見たら傷つく」
「なあ……お前は誰だ?」
「は?」
【加蓮の姿をしたそれ】は困惑の表情を浮かべる。
「お前は誰だって……北条加蓮だケド……」
「なるほど、誤魔化すのか。悪いけどこっちには名推理をするほどの証拠もない、だから強行突破でやらせてもらうぞ! 肇!」
「はい!」
「そ、それは!?」
木の裏に隠れていた肇が満月の光を目一杯取り込んだ鏡で加蓮を映す。
「きゃあ!!」
加蓮の姿をした何かは苦しみだしその場で蹲る。
「みんな、出てきて良いよ」
「全員いたの……?」
隠れていたのは肇だけじゃなかった。寮にいたみんなが、加蓮の真実の姿を目撃している。もう言い逃れができない。
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