小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
1- 20
82: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 08:00:26.79 ID:sHF766Jg0
「肇、少し良いか?」

「プロデューサーさん。ちょうどよかった、私も話したいことがあったんです」

 家事担当だった響子がいなくなったから必要なものを買い出しに行くと言う名目で俺と肇は車を走らせた。吹雪の中車を走らせるのは危険だったが、他のみんなに聞かれるわけにもいかないので致し方ない。肇にカイロを渡すと加蓮と同じようにシャカシャカ振り始めた。

「響子がいなくなったのは……美穂にとって都合が悪くなったからだと思ったんだ」

「! プロデューサーさん、それって」

「いや、美穂が犯人とは思えない。あの子はそんな卑劣なことをする性格じゃない」

 美穂にとって相性の良いメンバーが集まっていることを考えれば、彼女が犯人である可能性は低いと考えられる。そして俺と夫婦ごっこをした響子がいなくなったこと。消去法で考えるなら、美穂以外の誰かになる。

「まるで厄介オタクだな」

 美穂にとって都合の良い世界を作るため、その立場を脅かしかけた響子を排除する。随分と歪んだファンもいたもんだ。

「厄介……なんですか?」

「ごめん、なんでもない」

 肇にはイマイチ分からない世界の話だったようだ。そのままの純粋な君でいて、うん。

「でも美穂さん以外って……結局何も分かっていないのと同じなんじゃ」

「……いや、1人目星はついているんだ」

「えっ?」

 これまでを振り返ってみる。誰も彼も怪しく見えてきたけど、もしかしたらという子はいた。ただこれといった物的証拠はないし、何より満月はまだ訪れない。お前が黒幕だと言っても、はぐらかされるだけだろう。

「結局満月の夜を待つしかない、か」

 恐らく向こうも俺の行動に気付きつつあるだろう。ならば騙し比べだ。満月の夜まで仲良しごっこを続けてやる。そしてその真実の姿を鏡に写してやるんだ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
143Res/165.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice