127: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:49:57.07 ID:nY0iWbpOO
「どうしてだって顔してるな、夢邪鬼。さっきも言っただろ、一度キチンと人をプロデュースしてみろって。人間ってのは表に見える一面だけじゃないんだ。弱かったり強かったり、正しかったり間違ったり……昨日見た姿と今日見た姿、明日見る姿が違っても……全部その人を作り出す要素なんだ! 間違いなんてない、丸ごと本当なんだ!」
美穂は強い。そして弱い。それは両立し得ないように見えて、表裏一体だ。
「俺たちは間違えてしまった。だけど、夢の世界に甘えるほど……弱くはないんだよ」
「ぐっ……! 何故永遠を否定するんだ……! 全てが叶う夢の世界から出ようとするんだ!? くだらない喧騒の中に、帰りたがる!」
「あの……私からも、良いですか?」
一つ欠伸をして眠気を何処かに追いやった美穂は夢邪鬼を優しい瞳で見つめる。
「私が甘えてしまったから、夢邪鬼さんにも辛い思いをさせてしまったんですよね。ごめんなさい」
「美穂……」
責めることをせず深々と頭を下げた美穂に夢邪鬼も困惑の顔色を隠せずにいる。
「プロデューサーさん。本当はあの時、知っていたんです。アメリカに行く話があったこと」
「えっ?」
「私も知るつもりはなかったんですけど、たまたま事務所の人が話してるの聞いちゃって。だから私のそばにいるって星空の下で誓ってくれた時、すごく嬉しかったんです。だけどそれって、プロデューサーさんの本当の夢を手放すことだって気付いていたのに……私は甘えちゃいました」
そしてその結果、俺も美穂も望む未来を掴むことができなかった。
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