ハリー・ポッター「僕の言うことを聞け」ドラ子・マルフォイ「……はい」
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50:名無しNIPPER[sage saga]
2019/12/07(土) 23:02:39.30 ID:kNKMPaOnO
「ポッター、早くそれをこちらに寄越せ!」

ポケットから取り出した石をクィレルに見せると、彼はこちらに手を伸ばしつつも、杖先は油断なく足元で石化の呪文をかけられた人質に向けられており、解放される見込みはなかった。

「さあ! ポッター! 石を寄越すのだ!!」

恐らく、石を渡しても、人質は助からない。
助ける為に必要で、鏡の自分が託したのに。
その結果が悲劇では、まるで無意味だった。

ハリーは考える。自分の頭て。時間をかけて。
焦れたクィレルの隙を伺うも、見当たらない。
ならば、一か八かの賭けに出るしかなかった。

「石を渡す前に2人を解放してください」
「そうはいかん! 石が先だ!」
「それなら、ご自分で拾ってきてください」

ぽいと、世界に二つと無い賢者の石を投げた。
万物を黄金に変え、永遠の命を与えるとされる貴重な石を、そこらの石ころのように扱った。
それが出来なければ鏡から石を取り出すことは出来ず、ましてやその石を使おうとする者には鏡から取り出せる筈もない仕掛けであった。

無論、クィレルは闇の帝王の復活の為に喉から手が出るほど賢者の石が欲しかったので、放物線を描いて落下する石に向けて必死手を伸ばし、人質など置き去りに落下点に駆け寄った。

しかし、皮肉なことに。
みぞの鏡と同じように、石に手は届かず。
地面に叩きつけられた賢者の石は砕け散った。

「ーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」

身の毛もよだつ絶叫はクィレルのものか、それともその後頭部に取り付くヴォルデモートのものか、定かではないが、ハリーは割れそうなほどに痛む額の傷跡に吐き気を催しながらも、人質の2人に駆け寄って、運び出そうとした。

けれど、石化の呪文をかけられた2人は重くて、子供のハリーに運び出すことは不可能だった。


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