2: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:41:46.82 ID:/r2p4Xlx0
そんな一人と一匹が過ごす冬のある日。
ご存知我らの765プロの、世間には『劇場』として知られている建物において、
3: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:42:17.99 ID:/r2p4Xlx0
そもそも人間は靴を履いているし、何なら靴下だってあるが、
ネコは靴を履かない生き物だし、例えお互い素足であったとして、
4: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:43:21.09 ID:/r2p4Xlx0
だから、黒ネコは廊下を歩くのが嫌いだった。
煩わしい仕事をするのも嫌いだった。
5: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:45:25.82 ID:/r2p4Xlx0
「すみません、吾輩さまが飛び出してくると思わなくて。……もう少しで足を引っかけてしまいそうに」
「いや、別に、構わないよ」
6: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:46:38.85 ID:/r2p4Xlx0
見かけなかったかい? と黒ネコが問う。
するとエミリーは残念そうに首を振って。
7: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:47:52.59 ID:/r2p4Xlx0
黒ネコが力になれないと首を振ると、エミリーは「構いません」と言って立ち上がった。
だが……その両腕には黒ネコがしっかり抱きしめられていて、彼は狼狽えながら彼女に訊いた。
8: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:49:13.84 ID:/r2p4Xlx0
――さて、そうなってくると、建物内に残った調べるべき場所は二階と地下。
一人と一匹はそのどちらにも向かえる階段へと同時に視線をやって。
9: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:50:30.11 ID:/r2p4Xlx0
===
「携帯を使おうって発想は無かったんですか?」
10: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:52:03.30 ID:/r2p4Xlx0
「要するにだね。人生とは、回り道の数だけ想い出も増えて行って――」
「別に人生訓を訊いたワケじゃ。私を探してたって事は、用事があったんじゃないんですか」
11: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:53:13.83 ID:/r2p4Xlx0
「一体何をやってるんだい?」
黒ネコが疑問を口にした。
12: ◆Xz5sQ/W/66[sage saag]
2019/12/04(水) 22:58:30.57 ID:/r2p4Xlx0
何故ならば、だ。その女性こそがエミリーの探していた――。
「仕掛け人さま、それなら私もお手伝いします!」
16Res/8.36 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20