36: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:36:15.75 ID:86FQdztyO
「っぅぉぉぉぉぁぁぁぁっっっ!!」
最悪の気分だった。
汗と吐き気とに襲われた目覚めよりも最悪だった。
書いた覚えの無いメモを見て全てを思い出した俺は、空っぽの胃袋で何度も嗚咽を漏らす。
『自分で書かなくてもこのメモは現れる』と言う重大な情報も、冷静さを欠いた今の俺にはきちんと認識出来なかった。
「あぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!」
叫ぶ。
俺はひたすら叫んだ。
ほんの少し前の、昨日の、今日の出来事を思い出して。
まだ瞼に鮮明に焼き付いている、甘奈の顔を。
甘奈が死んだ。
大切な妹が、大切なアイドルが。
千雪に殺された。
大切な妹の、大切なアイドルの手で。
感情がぐちゃぐちゃになる。
涙と胃液で床を汚す。
何度も何度も頭を机に打ち付ける。
これで全てを忘れられたらどれ程良かったか。
コンコン
扉がノックされた。
そこに居るのが誰かなんて、考える必要も無い。
「起きてますか? 兄さん。なんだか叫び声が……」
ガチャ
開かれた扉の先には、既にメイクをバッチリ終えた愛しい妹。
長い栗色の髪を片方に結んだ、おっとりとした長女。
大切な……大切な、俺のアイドル。
俺にとって、かけがえの無い……
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