35: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:35:43.49 ID:86FQdztyO
「……今朝の兄さん、まるで悪戯を思い付いた子供みたいに楽しそうな顔をしていました。だからちょっとだけ、私も朝ご飯に悪戯したんです」
「あ……甘奈…………なぁ、甘奈……おい……!」
「兄さん、きっと覚えてるんですよね? 思い出したんですよね? 何か理由があると思うの」
「なぁ甘奈! 返事してくれよ! なぁっ!!」
「だったら、そんな物は捨てちゃいましょう?」
「おい!! おいっ!! なぁ甘奈頼むよ!! 冗談だって言ってくれよ!!!!」
「……誰かと連絡を取っている様な気もするんです。やめませんか? 兄さん。きっと私、またこうしちゃいますから」
戻るしかない。
やり直すしかない。
望まなかった四月一日を、俺が、俺の意思でやり直すしかない。
甘奈を助ける為には。
今は、幸せになるしかなかった。
「……ねぇ、兄さん。分かってくれましたよね?」
千雪が、もう一度大きく腕を振り上げる。
「っうぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!」
幸せになる方法はしっている。
全てを投げ出して忘れる事だ。
俺はなんとかポッケからメモを取り出して。
それを、勢いよく破いた。
最後に、目の前に転がり落ちて来た甘奈と目があった。
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