17: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:22:13.56 ID:86FQdztyO
「え……」
書類の山を退ける。
けれど。
「…………無い……っ!」
そこに、メモは無かった。
俺の勘違いか?
一番下じゃなかったか?
他の書類の合間を探すが、それらしい物は一つも見つからなかった。
だとした、先程ゴミ袋に捨てた書類の間に挟まっていただろうか。
まぁ、それなら良い。
捨ててしまったのであれば見つかる事も無いだろう。
メモがどうなると困るかと言えば、千雪達に見つかるのが一番不味いのだ。
最悪、俺が回収する必要は無い。
大丈夫だ、捨てたのであれば。
無いのであれば、心配する必要は
「何を探しているんですか? 兄さん」
息が、止まるかと思った。
部屋の入り口では、笑顔の千雪がゴミ袋を片手に立っていた。
次のゴミ袋なんて、既に用意してあったのだろう。
俺を一人にさせて油断させる為に一旦部屋から出たのだろう。
それに俺は、まんまと嵌められてしまった。
「……いや、別に……」
正直、もう言い訳は効かないと分かっていた。
見られていたのだから。
書類の山を退けて、ある筈の物が無く慌てふためいている俺を。
彼女はずっと、見ていたのだから。
「……そう、なら良いんです。何か大切な物を捨ててしまって焦ってるのかな、って心配してただけですから」
「……大丈夫だよ、千雪。そんな大切な物なら机の上に出しっ放しになんてしないから」
「ふふ、でも兄さんそう言う事結構ありますよね?」
「耳が痛いな」
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