16: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:21:04.93 ID:86FQdztyO
「…………そう、だな……」
捨てるしか、無かった。
今は千雪の言う通りにするしか無かった。
俺がこの『幸せ』から抜け出せない事には、彼女達の企画は全て意味が無くなる。
捨てるしかないんだ……捨てるしか……
「……ああ、要らないもんな」
背に腹は変えられない。
兎に角今は、この状況を切り抜けよう。
企画書ならまた俺が徹夜して書けば良い。
重要な書類ならアシスタントのはづきさんが予備なり写しなりを持っているだろう。
後は、どうやってメモを回収するか、だ。
書類の山の下の方は残すか。
上から7割程度を捨てれば、ゴミ袋はほぼ一杯になるだろう。
そうしたら次のゴミ袋を取りに行って貰って、その隙に回収をする。
「……よいしょ、っと。ん、もう結構いっぱいになっちゃったな」
俺の声は平静を保てていただろうか。
悲しさと悔しさに揺れていなかっただろうか。
俺の手は震えていなかっただろうか。
正直、自信は無い。
「まぁ、もういっぱいになってしまったの……私、もう一袋持って来ますね?」
「あぁ、頼んだ千雪」
ゴミ袋の口を縛った千雪が、部屋を出て行った。
これで良い、仕方なかった。
それより今は、メモの回収だ。
考えるのも後悔するのも、その後だ。
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