15: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:20:25.18 ID:86FQdztyO
ベッドにコロコロを掛けたり。
適当な服を捨てたり。
旅行のパンフレットを捨てたり。
てきぱきと、掃除を進めて行く。
「それで、今度は四人で遊園地か水族館なんて行きたいなって思ってるんです。あ、兄さんが良ければですけど……」
「んー、水族館はどうせなら千雪と二人きりで行きたいな」
「……もう、兄さんったら……」
他愛の無い会話を進めながら、俺は焦っていた。
ゴミが、集まり切らないのだ。
千雪の用意した50Lのゴミ袋は、当然ながらとても大きかった。
俺一人が出したゴミでは、流石に埋まりそうは無い。
そして、そうなった場合。
千雪からされるであろう提案を、俺はきっと……
「あら、兄さん」
千雪が、俺の机の上を見る。
ニタリ、と。
そんな風に、普段の彼女とは思えないくらい下品に。
気持ち悪い笑顔を、浮かべた様な気がした。
「机の上の書類、捨てないんですか?」
言われると思っていた。
何処かのタイミングで、彼女がそれを言うと思っていた。
「……………………」
「…………兄さん? どうかしましたか?」
……捨てられる訳がないだろう。
勿論、その一番下にあるメモに気付かれる訳にはいかないから、と言うのもある。
今書類を持ち上げてしまえばそれが千雪に見つかってしまう。
一緒に纏めて持ち上げてしまえば、きっと俺はそれを回収出来なくなるだろう。
けれど、そんな話じゃない。
……これは、俺の大好きな283プロの皆んなの仕事なんだぞ。
彼女達の頑張りの結晶なんだぞ。
ライブも、撮影も、握手会も、皆んなで頑張って掴んだものだ。
それを、その企画書だからって捨てられる筈が無いだろう。
もしかしたら夢から覚める様に、全て無かった事になるかもしれないとしても。
それをプロデューサーである俺が……捨てられる筈が……
けれど、もしこれでまた俺が四月一日を繰り返す羽目になれば……
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