環いろは「桜子ちゃんが二人になっちゃった?!」
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63: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/12/01(日) 22:41:31.02 ID:5yCClcPC0

いろは「この手紙を書いている私はもうすぐあの世に旅立ちますが、その前に、私はある “噂” を神浜の街に残しました。その噂の内容は―――



あらもう聞いた? 誰から聞いた? 万年桜のその噂。

みんなで走り回れるようにって、草原が広がっていて、みんなでお花見ができるようにって、大きな桜の木がある。

そこでは一人の女の子が眠ってる。
そこで一緒に遊んでくれる友達が会いに来てくれるまで眠ってる。
友情の証であるみかづきの宝箱を持ってきてくれる友達を待っている。

本当の友達と会えた時、眠ってる女の子は、万年の時を超えて目を覚ます。
すると大きな桜の木はそれを祝福するように満開の花を咲かせるよ」



いろは「あっ・・・。これって、私が追いかけ続けていた噂に似ている」

桜子「 |あなたが追いかけていた噂?| 」

いろは「はい。私は数年前にその噂を街の中で偶然聞いたんです。最初聞いた時からその内容がずっと胸に引っかかっていて」

いろは「眠り続けている女の子はどうして眠っているんだろう。どこで眠っているんだろう。どんな女の子なんだろう。私でも友達になれるかな・・・。とか色々考えちゃいました」

いろは「どうしても気になって、その内私はこの噂について本格的に調べ始めたんです。最初は大変でしたよ。万年桜が一体何なのか、場所も分からないし、みかづきの宝箱の意味も分からないし、何かの比喩表現かなって必死に考えたりして」

いろは「一人で考えても分からないから、道行く人に声を掛けたりもしたんですけど、緊張しちゃって、もうダメダメで・・・。同い年ぐらいの人なら話をしやすいから、そこから何とか手掛かりを集めて・・・」

いろは「あちこち探しまわって、調べまわって、そんな日々を過ごしているうちにある人に辿り着いたんです。その人は大分お年を召されたおばあさんでしたけど、モデルに負けないくらい美人で気品がある人でした」

いろは「どこか不思議な雰囲気もある人でしたけど、その人は私を見るなり、何も言わずにそのみかづきの宝箱を私に渡してくれました。それで噂が本当だったんだってやっと確信できて、飛び上がる程に喜びましたよ」

いろは「それからまた長い時間を掛けて必死に万年桜の場所を探し続けました」

桜子「 |そうしてようやくここに辿り着いた?| 」

いろは「はい。すごく大変でしたけど、なんとかここまで来られました」

いろは「でも、そっか・・・。私が追いかけていた噂は、このお手紙を書いた人がずっと昔に流した噂が元だったんですね」

いろは「私が聞いた噂の内容と違うのは、人から人へと語り継がれる間に噂の内容がちょっとずつ変わっていったからですね、きっと」

桜子「 |そうだと思う| 」

桜子「 |・・・・・・・| 」

桜子( |もしかして・・・いろはがこの噂を残した理由は・・・・| )





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