白雪千夜「足りすぎている」
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278:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 01:36:50.49 ID:Hn+oLRjQ0
 改めて目の前に広がる、無数のペンライトの光。
 まるで、そう――アーニャと見た夜空に瞬く星々そのものだった。

 曲は、先ほど壮大な間奏に入ったばかりだ。

 私は観客に向けて指をさした。
 気まぐれで好き勝手になぞらえ、その尊さを教示する。
 アークトゥルスにも、シリウスの光にも負けない、無数の星々を。


「一番後ろの人も、見えています」


 四角い顔の人。背の高い人。眼鏡の人。
 笑い声が大きそうな人。物静かそうな人。ちょっと怒りんぼの人。
 友人とケンカをしてしまった人。

 学校や会社で、良いことや、嫌なことがあった人。
 近くのホテルに泊まる人と、電車で帰る人。
 あの人は、ひょっとして犬を飼っているかも知れない。
 志希さんが、あんな所にいる。

 色々な想い、色々な人生を背負った人達が、今この瞬間、交錯している。
 様々な手段でここに来て、同じ時を、同じ感動を共有している。


「皆さんには、私が見えていますか?」



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