白雪千夜「足りすぎている」
1- 20
279:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 01:40:21.47 ID:Hn+oLRjQ0
 自分が他者に分け与えられるものなど無いと思っていた。
 しかし、目の前のこの人達は、私に信じさせてくれる。
 この身を投げ出すことで巡り合う、得難き喜びもあるのだと。

 私なんかが、無償の愛などという気取ったことは言うまい。
 だが、これが尽くすということなのか。
 身を粉にして与えることで、見出せる光。


「私と一緒に……輝いてくれますか?」


 応えてくれた。
 歓声が巻き起こり、ペンライトの光が縦横無尽に乱れ飛ぶ。
 言葉で言い表せない想いが湧き水のように次から次へ、そこかしこで溢れ出す。

 この胸に宿る感情に、足りないも多いもないのは理解している。
 しかしアーニャ――それでも私には、こんな表現しかできない。

 ここは、何もかもが足りすぎている。

 かつて落とした愛おしいものを余さず拾い集め、お腹いっぱいに吸い込む。
 そして私は、私を愛してくれる人の持つ輝きの向こう側まで届くよう、溢れる感情をその歌声に乗せた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
301Res/285.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice