279:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 01:40:21.47 ID:Hn+oLRjQ0
自分が他者に分け与えられるものなど無いと思っていた。
しかし、目の前のこの人達は、私に信じさせてくれる。
この身を投げ出すことで巡り合う、得難き喜びもあるのだと。
私なんかが、無償の愛などという気取ったことは言うまい。
だが、これが尽くすということなのか。
身を粉にして与えることで、見出せる光。
「私と一緒に……輝いてくれますか?」
応えてくれた。
歓声が巻き起こり、ペンライトの光が縦横無尽に乱れ飛ぶ。
言葉で言い表せない想いが湧き水のように次から次へ、そこかしこで溢れ出す。
この胸に宿る感情に、足りないも多いもないのは理解している。
しかしアーニャ――それでも私には、こんな表現しかできない。
ここは、何もかもが足りすぎている。
かつて落とした愛おしいものを余さず拾い集め、お腹いっぱいに吸い込む。
そして私は、私を愛してくれる人の持つ輝きの向こう側まで届くよう、溢れる感情をその歌声に乗せた。
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