白雪千夜「足りすぎている」
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225:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:44:44.55 ID:1/ZkFkMM0
 あの人が、誰かに甘えるなどと――。
 強いて、おじさまにはそういう態度を取る時も頻繁にあったが、いくら奔放とはいえ、赤の他人にそこまで心を開くとは思わなかった。

「常務も優しそうに腕を回してて、これちょっとイメージ崩れちゃわない?って心配になっちゃったけど、止めるのもヤボだしねー。
 何ていうか、ラブを育むっていうより、うーん、たぶんあたしにはよく分かんない領域だけど……」

 悩ましげに人差し指を口元にあてて唸って見せたのち、それをピンッと天に指してみせる。

「例えるなら、子どもが親に甘えて、親が子どもを慈しんでー、ていう匂い?
 この事務所に来て以来、初めての事例だったから、あとでちとせちゃんには具にヒアリングしてレポっとかないとねー♪
 あ、じゃああたしシャワー浴びてくるけど、もし会いたいなら、ちとせちゃんか常務ならそこを歩いてった先にいると思うよ?」

 そう言い捨てて「じゃあねー」と手を振り、志希さんはペタペタと奥へ歩いて行った。



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