白雪千夜「足りすぎている」
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179:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:27:39.21 ID:1/ZkFkMM0
 ただ、と言って、おじさまは努めて明るい調子で話を続ける。

「円満離婚、と言えば良いのかな。彼女も経営者なだけあるから、聡明かつ理知的でね。
 話し合いはすこぶる建設的に進みました。もちろん、ちとせのために我々ができる最善策についてです。
 結果として、親権は私が預かりましたが、彼女に面会の制限は設けていません。いつでも遊びに来てほしいと言ってあります」

「ですが……」
 言いかけて、慌てて口をつぐんだ。
 しかし、遅かったらしく、おじさまは私を見てニコリと笑っている。

「そう。千夜が今口を挟んだように、彼女はまだこの家に来たことがありません。
 一方で、要らないと言っているのに、定期的に養育費を振り込んでくれているようです。
 あの子に無用な伝統を背負わせまいと、本家とは断絶した私にとって、経済的援助はありがたいのですが、男としては情けないばかりで、ハハハ」

「そんなにチトセを大事にしているなら、なぜ、チトセのママは、会いに来ないですか?」

 アーニャさんがもっともな疑問をぶつけると、おじさまは肩をすくめた。

「私に遠慮しているのかも知れないね。あと、この家もアクセスが悪いし。
 ただ、この間海外からこっちに帰ってきて、東京の本社で働くという話は聞いていたから、これからは会う機会も出てくると思うよ」

「それは、良かったです」
 アーニャさんはホッと胸をなで下ろした。


 でも、おじさまの今の話は、少し不可解な気もする。
 これまで訪れたことが無かったのに、東京で勤めるようになっただけで、会う機会がゼロから増えるものだろうか?



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