白雪千夜「足りすぎている」
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177:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:19:25.86 ID:1/ZkFkMM0
「それなら良かった」

 そうとも知らず、おじさまは椅子の背にもたれ、ふぅと息を吐いた。

「私はてっきり、ちとせと千夜が仕事の関係で喧嘩でもしたのかと心配で」
「おじさま。お嬢様は、私のことを一体なんと?」
「ん? いやなに、今日はとびきりに千夜のために腕を振るってやるんだって、息巻いていたよ、ワハハハ」

 こう言っては失礼だが、暢気に笑っているおじさまが、何だか腹立たしい。
 私は今もこうして焦燥を募らせているというのに。

「チトセの料理、とても楽しみです。チトセは、何を作りますか?」

 アーニャさんもまた、あまり重要そうでない話題に目を輝かせる。
 ――いや、ちょっと気になるが。

「ハンバーグを作ると言っていたよ」
「オォー、プロデューサー、ハンバーグ大好きですね♪ 今日は皆で……アー……」

「? アーニャさん、どうかしましたか?」

 部屋の中をキョロキョロと見回して、アーニャさんが気まずそうにおじさまを見つめた。


「チトセのママは……お出かけですか?」


 良からぬ想像をしたであろう彼女とは対照的に、おじさまは和やかに笑った。

「妻とは、あの子がまだ生まれて間もない頃に別れたんだ」



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