白雪千夜「足りすぎている」
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176:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:16:15.42 ID:1/ZkFkMM0
 お嬢様は、そこまで私のことを――。

 今日、どんな顔をしてお嬢様とこれから話をするべきか気を揉む私を尻目に、コイツは首を振った。

「他社さんと協働で開催するフェスの場合は、ライブバトルと称し、観客の方々からの投票形式によって、その出来を競い合うこともあります。
 ですが、これは社内イベントであり、アイドルを含む事務所のスタッフが一丸となって行うものです。
 弊社としましても、同じ事務所内のアイドル同士で対立感情を煽るようなことを、メリットとして捉えることはありません」

 お前、夏の合宿の時は違うことを言っていなかったか?
 そう横槍を入れてやりたい気持ちを、グッと飲み込んだ。
 コイツにも、冗談で済むレベルとそうじゃないものの線引きがあるのだろう。


 だが、コイツの今の話には、正しくない部分が半分以上はあることを私は知っている。
 確かに、明確なライブバトルとして銘打たれたものではないが――実質的には、今度のフェスは戦いだ。

 私達シンデレラプロジェクトと、常務が率いるプロジェクトクローネ。
 どちらがより観客の心を掴めるか――つまり、私達と常務のどちらが正しいかを決する舞台となる。
 引いては、シンデレラプロジェクトの存続を賭けた舞台。
 お嬢様も、理解していないはずはない。



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