白雪千夜「足りすぎている」
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157:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:10:57.76 ID:1/ZkFkMM0
「どういうことですか?」
「だって、アイドルとしての得難き経験とやらをちとせが欲してるなら、アイドル辞めるわけないでしょ。
 目標としていた千夜が辞めて、多少モチベーションが下がるくらいはあるかも知れないけど」

 ――反論すべき点が見つからない。
 この人は実に聡明だ。常に端的で、言動に迷いが無い。

「でもそれはちとせにしか分からない話で、杏が我知り顔で言えることでもないしね。
 ところでさ、千夜は辞めたらどうするの?」
「……えっ?」

 私としたことが、346プロを辞めた後の事を全く考えていなかった。

 当然に、私は寮を出なければならなくなる。
 そうすると、ひとまず黒埼の屋敷に戻って――。

「……黒埼家の従者に戻るだけです。
 学校も、遠いですが、そこから通うことになるかと」
「ふーん」

 一瞬、瞳の奥を見透かされたような気がした後、彼女は鼻で小さくため息をつき、腕の中の人形を軽く撫でた。

「まぁ達者でやればいいさ。
 この際だから言うけど、杏は千夜のことあんまり得意じゃなかったよ」
「奇遇ですね。それは私もです」

 フッ、と知らず笑みがこぼれる。

「こんな事を言うと、おそらく杏さんは怒るかと思いますが……
 同族嫌悪に近いものだったと、今では思います」



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