158:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:12:56.10 ID:1/ZkFkMM0
合理的な思考に、どこか通ずる部分があった。
異なるのは、ポテンシャル――彼女は、近道を可能にするだけの力がある。
私は言われた通りのことしかできず、それでいて客観的な思考を盾にして本音を隠す卑怯者だ。
あの日、一ノ瀬さんが言っていたことが、少し分かってきた気がする。
「いや……合ってるよ、同族嫌悪」
「えっ?」
顔を上げると、杏さんは頬杖をつきながら、どこか据わりが悪そうに窓の外へ視線を投げていた。
「千夜みたいな子がいたら、杏もがんばんなきゃいけないし……
張り合える子がいなくなって、ようやくラクが出来そうで清々できるよ」
大きなため息を吐いた後、彼女は椅子から飛び降りた。
「あー良かった良かった。
あ、ここの会計はプロジェクト宛てに領収書を菜々さんに書いてもらえれば大丈夫だから。
あとよろしくね、それじゃ元気で」
大袈裟な欠伸をこれ見よがしにかきながら、杏さんはペタペタと小さい体を揺らして出口の方へ歩いて行った。
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