1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:33:32.62 ID:p0kC2C320
プロデューサーさんに好意がなかったと言えば嘘になるけれど、私のこの気持ちは甘い夢を見ていたようなもので。
チョコアイドルを名乗る身としては、甘いものが溶けてなくなるのも仕方ないと、意外なほどすんなり受け入れられた。
「努さん、俺……」
「部屋の外ではただの社長とプロデューサーだと言ったはずだが?」
「す、すいませ……むぐっ」
「……っ、は。まったく私も甘いな。行け、これ以上私を甘くするな」
「はい!」
事務所の社長室の前。
たまたま陰から見てしまった、プロデューサーさんと社長さんの濃厚なキスシーン。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:34:32.38 ID:p0kC2C320
色々と衝撃的な光景ではあるけれど、私の受けた衝撃なんて彼女に比べたらちょこっとだろう。
私は恐る恐る隣を、一緒にキスシーンの目撃者となった凛世ちゃんの顔を窺う。
「…………」
3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:35:26.96 ID:p0kC2C320
事務所のソファー、近くの喫茶店、公園。
色々考えたけど、結局凛世ちゃんの家まで来た。
少しでも凛世ちゃんが気兼ねなく感情を吐き出せるように。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:36:38.49 ID:p0kC2C320
少し強引な誘導。
そうでもしないと凛世ちゃんは何も言ってくれない気がするから。
少しでもいい、話して欲しい。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:37:40.36 ID:p0kC2C320
なぜ口づけをしていたのか?
なぜ人は口づけをするのかってこと?
哲学ってやつですか?
6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:39:08.44 ID:p0kC2C320
「り、凛世ちゃん。えっとね、世の中には同性愛っていって、男の人が好きな男の人や、女の人を好きな女の人がいてね」
どう説明したらいいものか。
私のしどろもどろな説明に、凛世ちゃんは深く頷いて。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:40:14.59 ID:p0kC2C320
「智代子さんからお借りした本にも……男性同士での恋愛はなかったかと……」
「だろうね」
そういう本は持ってないからね!!
8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:41:15.02 ID:p0kC2C320
「まあね!」って何!?
凛世ちゃんの家での自分の言動を振り返り頭を抱える。
どうして私は反射的に見栄を張っちゃったんだろう。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/09(土) 10:43:12.56 ID:p0kC2C320
「とりあえずこの目についたやつを買ってみようかな」
そう思って積まれている漫画を手に取ったら。
「それは名作だけど、生々しすぎて初心者のお嬢ちゃんにはちょっとオススメできないじぇ」
10:名無しNIPPER[saga sage]
2019/11/09(土) 10:44:22.81 ID:p0kC2C320
「これは友達の話なんですけど」
「……うん」
「その優しいまなざし絶対誤解してますよね!?ホントに友達の話なんです!」
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