モバP「中秋の名月なんだって」渋谷凛「へぇ」
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1: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/13(金) 22:20:38.05 ID:dClKCXRA0
「中秋の名月なんだって」

横を歩いていたプロデューサーが立ち幅跳びさながらの動きで私の正面へと躍り出る。

突然の出来事に、彼の動きに伴って生み出された革靴とアスファルトが打ち合って鳴るこんっという硬い音が、遅れて耳に届いたような気がした。

「……雲、かかってるよ」

ようやく彼の動作と声が頭で理解できた私は軽く空を見上げ、そう返す。

収録の現場終わりであることもあって、疲労からか少しぞんざいな返しをしてしまったことを後悔しかけるが、まぁこのくらいで傷つくような相手でもないか、と思い直す。

「ん。……あ、本当じゃん」

彼も同じように空を見上げて、言う。

「月が出てるか確認もせずに言ったの?」

はぁ、とため息を吐いて問う私に、彼は「いや、だってなぁ」とまごついている。

さて、どんな言い訳が飛び出すやら。とりあえずは彼の出方を待つ。

「ほら、年に一度の良い月が出てるんならさ、やっぱり一緒のタイミングで見て感動したいな、とか思ったわけですよ」

そう来たか。

思っていたよりも可愛らしい理由に笑ってしまう。


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2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/13(金) 22:22:00.83 ID:dClKCXRA0

「じゃあ残念だったね。私と一緒に見られなくて」

「本当に。残念で仕方ない。言おうと思ってたセリフもあったのに」

以下略 AAS



3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/13(金) 22:23:07.06 ID:dClKCXRA0

「わかった」

「何が?」

以下略 AAS



4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/13(金) 22:24:06.44 ID:dClKCXRA0

しばし、沈黙が流れる。

耳に届く音は、スズムシなのかコオロギなのかよくわからないけれど、そんなような虫たちの声で、吹く風は優しい冷たさを持っていて心地良い。

以下略 AAS



5: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/13(金) 22:25:11.32 ID:dClKCXRA0

口元を綻ばせたまま何気なく空を見上げると、雲の切れ間から真っ白な光が射していた。

「あ」

以下略 AAS



6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/13(金) 22:27:06.02 ID:dClKCXRA0

「今日は中秋の名月なんだっけ」

「って聞いた」

以下略 AAS



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