4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/13(金) 22:24:06.44 ID:dClKCXRA0
しばし、沈黙が流れる。
耳に届く音は、スズムシなのかコオロギなのかよくわからないけれど、そんなような虫たちの声で、吹く風は優しい冷たさを持っていて心地良い。
自宅である、両親が営む花屋が仕入れる花たちも、そういえば秋の色を帯びてきていたな、と季節の移り変わりを実感した。
「にしても、もう秋だな」
隣を歩くプロデューサーが沈黙を破って、口を開く。
私がいま丁度考えていたことをずばり言葉にするものだから、やはり以心伝心なのではなかろうか、などと思ってしまう。
「うん。もう夏が終わるんだね」
「ちょっと寂しいよな」
「あれだけ暑い暑い、って言ってたはずなのにね」
「そうそう。いざ終わるとなると、しんみりしちゃう」
「プロデューサーは今年の夏、楽しめた?」
「そうだなぁ。名残惜しくはあるけど、楽しめたと思う。誰かさんのおかげで」
「そっか」
「凛は?」
「私も、結構楽しかったよ。誰かさんのおかげで」
ちらりと隣へと視線をやると目が合って、その後にくすくす笑い合う。
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